AI制御とは?AIで制御できるもの・活用事例を解説
手作業での設備点検に毎月時間をとられている。 確認漏れで設備の異常の発見が遅れてしまった。 製品の品質や生産性を向上したい。 こうした課題が、AIで解決できるとしたらどうでしょうか。 日常生活ではまだまだ馴染みのないAIですが、実はビジネスでは年々活用領域が広がっています。 AIでシステムを制御すれば人的ミスが抑えられる上、コスト削減や売上拡大につながる可能性があります。 本記事では、あらゆる業態・サービスでAIによるシステム制御を活用している事例をご紹介します。 AIでどのようなシステム制御ができるのか、どのような効果があったのかもまとめました。 AIで自社の課題を解決できないか検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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AIによる制御とは?
AI制御とは?
あまり聞き慣れない「AI制御」という言葉ですが、どのようなものを指すのでしょうか。
そもそもAIとは、人間の脳の働きを機械で再現したシステムのことをいいます。
考える、言葉を理解する、分析するなど、人ならではの活動を機械でもできるようにした仕組みともいえます。
AIがこれら人間の活動を再現することで、能力や経験に関わらず、素早く大量のアウトプットを創出することができます。
AI制御とは、AIができる活動の中でも特に「システム制御」に特化した働きのことをいいます。
人が機械やシステムの状態を見て調整するという業務を、AIが代わりに行ってくれるのです。
人の代わりにAIがシステム制御を行うことで人件費が削減できる他、精度向上も期待できます。機械学習と強化学習
AI制御を語る上で欠かせないのが、機械学習と強化学習です。
機械学習とは、AIがデータを元に学習することをいいます。AIは脳の動きを再現したものなので、人が情報や経験から学ぶように、AIもデータを元にした学習が必要なのです。
AIは機械学習を行うことで、データの類似性や法則性を見つけ出します。機械学習のおかげで、未来の予測や状況判断が可能になります。もう一つの強化学習とは、機械学習の一種です。囲碁やチェスの世界チャンピオンにAIが勝てるのは強化学習によるものです。
AIが学習するデータには、「動的データ」と「静的データ」の大きく2種類に分けられます。
簡単に説明すると、静的データとは「途中で変わらないデータ」、動的データは「途中で変わるデータ」のことです。
例えば、過去の販売実績や過去の天気といったデータは、学習している途中で数値が変わることはありません。そのため、静的データに分類されます。
一方、例にあげた囲碁やチェスは、相手の打ち方によって刻々と状況が変化します。そのため、動的データに分類されるのです。
AI制御は、刻一刻と変化する数値を学習しながらシステムを制御することが求められるため、強化学習が必須になります。 -
AI制御の事例4選
AI制御を活用した事例として、4つの事例をご紹介します。
・ドローンの自律飛行の事例
・商業施設における空調制御の事例
・FA機器をAI制御した事例
・化学プラント制御の事例ドローンの自律飛行の事例
無線で遠隔操作して動かせるのがメリットのドローン。
手動で操作するモデルもありますが、企業が使用するドローンはAIや機械によって操作されていることがほとんどです。既に商品の運搬や映像撮影、農業や測量など様々な分野で活用されています。
こうした企業ドローンの多くには、「自律飛行」と呼ばれるAIによる制御が採用されています。
自律飛行とは、その名の通りドローン自身が動きを制御して飛行することです。
AIが搭載されているドローンの場合、カメラの映像を元に人や車両を認識したり、安全に飛行できる進路を選択することができます。
通常は人による目視確認でこれらを判断しますが、AIが搭載されているドローンなら完全自動化が可能です。
また、強風や雨、砂嵐といった悪天候で故障や動作が不安定になった時にもAI制御が活躍します。
カメラの映像や地形データを元に安全に着陸できる場所を探し出し、緊急着陸が可能です。飛行中に故障すると最悪の場合墜落する危険性もありますが、AIによって制御されているドローンはこれらのリスクも回避できます。AIによる飛行制御があれば、人が目視確認できない場所の飛行や遠距離での飛行が可能です。
具体的には、電波塔における巡回警備や、被災状況の把握などがあげられます。電波塔といった人が立ち入れない場所でも、ドローンなら難なく飛行できます。
また、洪水や土砂崩れといった自然災害の場合、交通網が麻痺してしまったり、二次災害の恐れから、すぐに人が向かえない状況が想定されます。
こうした場合も、AI制御が搭載されているドローンが利用できます。画像や映像で被害状況をいち早く把握すると共に、画像解析を使って取り残されている人を発見することも可能です。商業施設における空調制御の事例
大手商業施設では、電力消費量やCO2削減を目的にAIによる空調制御を行っています。
200以上の店舗が入っている同施設では、冷暖房設備による温度管理に加え、外気を取り込むことで館内のCO2濃度を調整しています。
ですが、日によって来館者数は変わる上、来館する時間帯もバラバラです。
そのため、同じ時間帯に外気の取り込みを行っても、来館者が少ない時間帯では外気を取り込みすぎてしまいます。外気を取り込みすぎると館内温度が大きく変動し、最適な温度に戻すため多くの電力を消費してしまうのです。
そこで、AIを使った空調管理が導入されました。
同施設でAIが行うのは、来館者数の予測とカメラの画像解析の2点です。
AIには、過去の気象データや館内の催事の有無、来館者数といったデータを学習させます。
これにより、天気や曜日、イベント開催の有無といった情報から、未来の来館者数の予測ができるようになります。
時間帯による来館者数の推移も予測することができ、適切な量の外気の取り込みが可能です。
また、AIが館内に設置されているカメラ画像やサーモカメラの画像を解析。来館者の活動量や服装を推定し、適切な温度へ空調制御を行います。
AIによる来館者数予測と画像解析のおかげで、快適な温度を保ちながら省エネを実現しています。
AIによる来客予測については、こちらの記事で詳しく解説しています。
http://www.matrixflow.net/case-study/23/FA機器をAI制御した事例
製造業におけるFA機器にも、AI制御が活用されています。大手総合電機メーカーの事例をご紹介しましょう。
FA機器とは、工場の受注・設計・検査・出荷の全工程にわたって自動化する機器のことです。
日々市場が変化する今の時代では、製造する製品の品種や量への柔軟な対応が求められています。
そのため、FA機器も製品ごとに生産スピードや工場ラインの回転数を調整する必要があるのですが、時間がかかる点や生産性の低下が課題になっていました。
そこで、人手や時間のかかっていたFA機器を自動調整すべく、AI制御技術が開発されたのです。
FA機器をAIに制御させるにあたって課題になるのが、信頼性です。
AIの制御が不安定な場合、製品の品質低下を招くことにもなりかねません。
どのような加工環境下においても一定の品質を保てるよう、同社は信頼性の高いAI制御を目指しました。
信頼性の高いAI制御を実現するにあたって、AIには推論結果の信頼度を計算できる仕組み(アルゴリズム)を構築しました。
これにより、AIは推論結果の信頼度に応じてFA機器を制御することができ、最終的にAI制御導入以前に比べ、加工時間の最大23%削減に成功しています。化学プラント制御の事例
化学製品を生産する工場施設である、化学プラントでもAI制御が利用されています。
AI導入以前の化学プラントでは、保全員が設備を直接目視で確認し、異常がないか点検していました。
この方法は保全員への負荷が大きいことに加え、特に経験の浅い保全員の場合、ミスが起きる可能性が高いという問題点があります。
万が一異常を見落としてしまった場合、重大事故を引き起こすリスクが高まることに加え、設備の稼働が止まって機会損失に繋がります。
そこで、保全員の負担軽減や異常の早期発見、生産性向上を目的にAIが導入されました。
化学プラントの特徴として、降雨や積雪といった急激な外気温の影響を受けやすい点が挙げられます。
そのためAIには、外気温が変化する中でも厳しい品質基準を満たす製品の生産が求められました。
具体的には、以下の流れでAI制御を導入しました。
(1)プラントシミュレータでAI制御モデルを構築
(2)過去の運転データで安定性・信頼性を確認
(3)実際の化学プラントに導入プラントシミュレータとは、パソコン上に仮想の化学プラントをつくり、生産の流れなどを検証するシステムのことです。
現場でどのような制御が必要になるのか、プラントシミュレータを使ってAIの制御モデルを作成します。AIの制御モデルが作成できたら、過去の運転データを使ってAI制御がうまくいくのかテストを行います。既存のシステムでは制御できなかった箇所をAIに繰り返し学習させ、AIのみでシステムを制御できるように調整。熟練の保全員も立ち合い、動作の安定性や信頼性、製品の品質を総合的に評価しました。
最後に、安全を確保した上で実際の化学プラントへAI制御を導入します。
結果として、AI制御を導入したことで様々なメリットを得ることができました。(1)熟練保全員のノウハウ継承
(2)判断基準の明確化・判断水準の底上げ
(3)リアルタイム・広範囲での保全が可能に
(4)生産性向上熟練保全員のノウハウ継承
熟練保全員の技術・ノウハウの継承にAIが活用できることがわかりました。
熟練保全員と非熟練保全員の違いをAIが定量的に評価し、違いが言語化されたのです。
また、これらの内容を踏まえて熟練保全員と非熟練保全員同士が議論することで、知識やスキルの伝達が促されました。判断基準の明確化・判断水準の底上げ
AI制御の導入以前は人が目視で確認・判断していたため、人によって判断基準にバラツキがありました。
ですが、AI制御を取り入れたことで判断基準が明確化し、属人化の緩和につながりました。
判断基準が明確になったことで、非熟練保全員の対応水準も底上げされるという副産物も生まれています。リアルタイム・広範囲での保全が可能に
AI導入により、化学プラントの運転状況をリアルタイムで確認できるようになりました。
人力では保全の範囲に限界がありますが、AIが確認することでより広い範囲での保全も可能になっています。
さらに、目視確認では見落とす可能性のあるわずかな異常も検知・推定できるため、異常の早期発見にも寄与しています。生産性向上
AIが収集した運転データや制御データは、クラウド上にリアルタイムに蓄積されています。
これらのデータを活用すれば、安全を確保しながら生産量や品質を最適化できるようになります。
また、AIによってプラント停止となる条件の特定が可能になりました。
プラント停止の再発防止や発生を遅らせる運転方法を考案でき、プラントの停止時間が削減・生産性向上につながっています。 -
AI制御が気軽に導入できる「MatrixFlow」
システム制御をAIによって自動化できれば、人件費や工数削減など様々なメリットがあることがわかりました。
人力では手間がかかる業務や正確さが求められる業務でも、AIなら広範囲で制御が可能です。
また、AIはデータの学習を重ねるほどさらに効率良く、精度の高い制御が可能になります。
そのため、生産性向上や品質向上といった観点でも大きなメリットがあります。
AI制御によるメリットがわかった一方、AIを導入したくてもためらってしまう方がほとんどではないでしょうか。
導入の手間がどれくらいかかるのか、どのような手順を踏んでAI制御ができるようになるのか、わからないことだらけです。
AIの導入には、自社でAIを開発する場合と外部のAIを契約する場合とがあります。
自社で開発する場合、開発までの費用や時間がかかることに加え、社内に開発の知見があることが前提になります。よって、手軽にAIを導入するなら外部のAIを契約する方法がおすすめです。
外部のAIにも汎用性の高いモデルや特定の業務に特化したモデルなどがありますが、ここでは様々なAIモデルを構築できる「MatrixFlow」をご紹介します。
MatrixFlowは、AIを提供しているサービスの中でも手軽に導入できる初心者向けのサービスです。
・プログラミング不要でAIモデルが構築できる
・テンプレートや事例からAIモデルが構築できる
・AIの知識ゼロでも運用・調整できる大きな特徴としては、プログラミング不要でAIモデルが構築できる点が挙げられます。
どのような仕組みで動かすのか、どのような結果を出力させるのか、通常AIをつくるにはプログラミングのスキルが必須です。
ですが、MatrixFlowではプログラミングせずにAIをつくることができます。
正確には、画面上での操作がプログラミングと連携しており、MatrixFlow側が代わりにプログラミングしてくれると考えるとわかりやすいでしょう。
また、一からAIモデルを構築しなくてもテンプレートを使う方法があります。
MatrixFlow側で解決したい課題に応じたAIモデルのテンプレートを用意しているため、さらに簡単に導入が可能です。
このように、MatrixFlowではAIの知識がなくてもAIモデルが構築できます。
そのため、途中で社内の担当者が変更になった場合や、担当者が増える場合も引き継ぎが簡単です。
AI制御で自社の課題を解決したいと考えている方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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