大学の研究にかかる手間と時間を効率化するために、MatrixFlowを導入(八戸工業大学様)
八戸工業大学の工学部 工学科では、コンクリートの耐凍害性(凍結融解に対する抵抗性)について研究を行っています。 コンクリートを使った試験は、事前準備から試験の結果が出るまでに数ヶ月の時間を要する、手間と時間のかかる作業となっていました。 手を動かして試験を行う前にAIで試験結果を予測できれば、より効率的な研究が可能になるのではないか。そこで、導入されたのが、MatrixFlowでした。今回は、助教の野口巧巳様に、導入のきっかけや、大学の研究でMatrixFlowを活用するメリットについて伺いました。 取材にご協力いただいた方: 助教 野口 巧巳様 インタビュアー: 株式会社MatrixFlow 営業部 為田 知子
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【導入前】
試験結果を予測するために、MatrixFlowを導入
──現在の研究内容について教えてください。
野口氏:コンクリートの耐凍害性(凍結融解に対する抵抗性)について、評価試験を行っています。 この試験では、まず研究対象となるコンクリートを作り、それから凍結と融解を繰り返して試験を行って結果を分析する必要があります。これだけではわかりにくいので、もう少し具体的な試験の流れを説明しますね。
まず、研究対象となるコンクリートを作るためには、約1ヶ月という長い時間が必要です。細骨材(砂)と粗骨材(砂利)、セメント、水を大きなミキサーで混ぜ、型に詰めて1日置きます。ある程度固まったら型から外し、さらに水槽の中に入れて約1ヶ月待ちます。これで、ようやくコンクリートが完成します。
ここから試験に移るのですが、その過程においても時間と労力がかかるんです。1日に6回ほど凍結と融解を繰り返し、トータルで300回行います。この工程で約1ヵ月半かかるので、水槽に入れている期間と合わせると結果を得るまでに約2、3ヵ月かかります。
──この試験において、どのような課題を抱えていたのでしょうか。
野口氏:二つの課題がありました。一つは、同じ条件で試験しようとしても、全く同じ条件を作り出すことがほぼ不可能であること。
一般の人からすると、同じ条件で試験すれば似たような結果が出ると思われるかもしれませんが、コンクリートの場合はそうもいかないんです。砂や砂利は、吸水率や粒度など規格が定められているものの、やはり天然材料のため多少のばらつきはあります。実際の試験では、山などから採取した石を使用していることが多いのですが、採取した時期によって性質が若干変わるんです。コンクリートそのものの条件が変わるたびに時間をかけて試験することは、あまり現実的ではありませんでした。
もう一つは、一度に試験できるコンクリートの数に限りがあることです。様々な種類のコンクリートを作ることが大変なことはもちろん、凍結と融解を繰り返すための試験装置においても容量に限りがあります。また、1回の試験が終わったら次を始めれば良いと思っても、準備から試験結果を得るまでに長い時間がかかります。
これらの作業を省力化して、試験をしなくても結果を予測していきたいと思い、AIの導入を検討し始めました。
──そこから、どのような経緯でMatrixFlowにたどり着いたのでしょうか。
野口氏:AIの導入を検討し始めたものの、私自身プログラミングの知識を持ち合わせていなければ、勉強する時間もありませんでした。限られた時間で課題をクリアするためには、コードを書かなくても使えるツールを探す必要があると考えて。ノーコードで使えるAIツールをネットで検索したところ、いくつかヒットしました。試しに何個か使ってみたのですが、分析するにあたってハイパーパラメーターの微調整が必要で、かつその値を見られる透明性がないと論文が書けなかったため、条件にあったツールを絞り込んだ結果、MatrixFlowが残りました。
【導入後】
AIを活用し、試験結果の「予測」が可能に
──実際にMatrixFlowを使用してみて、いかがでしょうか。
野口氏:予測の精度はまだ完璧ではありませんが、AIを使えばある程度予測できると見通しをつけられたことは大きかったです。他にも、自分でプログラミングする時間を省略できて、ありがたかったですね。
現在は、耐凍害性の評価試験でMatrixFlowを活用していますが、今後は派生した使い方ができるのではないかと感じています。コンクリートにまつわる試験を行う場合は、どれもまず1ヶ月かけてコンクリートを作る必要があるので、他の試験も同様にAIを用いて結果を予測できるようになれば、全ての試験で省力化につながると思います。
【今後期待すること】
“自分で開発する”余裕のない方におすすめしたいツール
──大学の研究において、MatrixFlowはどのような方におすすめだと思われますか。
野口氏:建築や土木、金属などを対象に研究している方であれば、MatrixFlowを使ってみると良いかもしれません。特に、プログラミングの知識を持ち合わせておらず、学習する時間もないけれど作りたいものがある方におすすめだと思います。
今回、私がMatrixFlowを導入した一番の理由は、自分でプログラミングを勉強してコードを書き、試す時間がなくなってしまったからなんです。
もちろん、大学の先生の中には自分でプログラミングを勉強して開発する方も多いですが、そういった時間に余裕がない方にもおすすめかもしれません。
──今後、MatrixFlowに期待することがあれば教えてください。
野口氏:2点あります。一つは、用途の拡大ですね。MatrixFlowでは、ニューラルネットワークおよびディープラーニングにおいては画像解析のみ利用できますが、今後は回帰などの数値解析にも利用できると、より用途の幅が広がると思います。これからの機能拡充に期待したいですね。
もう一つは、大学向けの料金プランです。大学の教員が使える予算は限られており、潤沢な予算を確保できずに悩んでいる教員も多いのではないかと思います。MatrixFlowは他のノーコードのAIツールに比べて安価ですし、複数の研究で利用できる機能もあります。ただ、限られた予算の中でも利用しやすくなるよう、個別で料金相談にも乗って頂けると非常に助かります。
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