自動車部品 業界におけるAI活用事例7選をご紹介
品質向上や業務効率化の面において、とくに活躍している自動車部品業界のAI。本記事はこの自動車部品業界のAI活用事例を7つ紹介します。中には検査不備がゼロになったり、生産効率が4倍以上になったりといった大きな効果を享受している企業もあります。 また、それぞれの企業が全く異なるシステムを導入しているため非常に興味深いです。
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自動車部品業界のAI活用事例7選
品質向上や業務効率化の面において一役を買っているAIですが、具体的にはどういった領域において活躍しているのでしょうか。本章では自動車部品業界での、AIの導入領域・事例を7つ紹介します。
製品検査AI
広島県に本拠を置く日本の自動車メーカー向けの自動車座席を生産している本企業は、製品検査の工程において、AIシステムを2019年に実験的に導入しました。
もともと導入前は目視で検査していましたが、製品のキズなどを機械で定量的に解析することができれば、人手不足の解消や品質の安定につながります。
本システムは3台あるカメラが約30秒間で2人分のシートの座面や背面を撮影して、不良箇所をモニターで知らせてくれます。これは事前に汚れやシワといった不備の特徴を学習したAI画像処理システムが働いてくれるおかげで実現した技術です。
2019年時点では目視とAI判定の判定一致率は4割程度ですが、実証実験を繰り返して一致率を9割程度まで向上させる予定です。
品質検査AI①
自動車防振ゴムやクラッチ板ゴムなどを販売している本企業は、AIを用いた品質検査システムを導入して検査時間を1秒未満に短縮しました。
もともと導入前は全社員の半分以上を品質検査に回し、目視で品質検査を行っていましたが、生産効率の低下や人手不足などといった問題が多く存在していました。またこの他にも新規作業員の給与の難しさや、作業員の高齢化といった技術継承にも課題があったようです。
しかし今回導入した品質検査システムは、専用ポットに製品を置くだけで部品の不備やバリ、充填不足などを即座に判断してくれます。また0.1ミリメートルの傷検出精度で1カ月あたり100万個以上の品質検査ができるようです。ちなみに2019年4月時点ですでに人の目視と同等以上の実績値を出しているため、スピードだけでなく品質にも今のところ欠点は見当たりません。
従来はベテランでも1製品あたりの検査に4秒程度かかっていましたが、品質検査システムを導入してからは1個あたり1秒未満で検査が完了します。また今後、製造工程の最終ラインにも本システムが導入されれば、さらに生産効率を4倍以上に伸びることが期待されています。
参考: 和良工業、品質検査AIを導入してゴム部品の目視検査を代替、検査時間を1秒未満に短縮
品質検査AI②
本章では、品質検査の事例をもう一つ紹介します。
ドイツの高級車メーカーは、量産車の生産プロセス(具体的にはプレス工程の品質検査)において機械学習システムを適用することを2018年に発表しました。
元々以前までのプレス工程では、プレス後は全ての製品を従業員が目視で検査していました。またプレスラインに小型カメラを設置して、画像認識ソフトを使いながら評価も行っていたようです。
しかし本システムを導入することで、短時間で微細な亀裂を自動認識してくれるようになります。このシステムはディープランニングを基にしており、体系化されてないデータやさまざまな形をした部品画像を使った特別な形式の学習を実施しているため、初めての場合においても未知の亀裂を検出できるようになりました。
また以前までは、エンジンフードやドアといった形状が変わるごとに設定をやり直す必要がある他、表面特性や照明といった要因に大きく依存するため定期的に誤検出が発生するなど課題があっため、光学クラック検査からスマートカメラを用いた機械学習に変わるようです。
外観検査の自動化AI①
かつて存在していたトヨタグループの大手自動車部品メーカーの一角は、ドアフレームの外観審査にAIを導入しました。
これまでは従業員による目視で検査を行っていましたが、不良品を見逃してしまうリスクがありました。しかしAIで自動化されたことで、目視で見逃していた不良を検知しやすくなったようです。
本システムの特徴は、3つのポイントで外観審査の判断を行う点です。「見たことがあるNGデータ」と「見たことがあるOKデータ」だけでなく「見たことのないデータ」も判定してくれるのです。
見たことのないデータに対して、本当は不備がないのに不備があると判断してしまうと生産ロスが増えてしまいます。しかし見たことのないデータがある一定の段階まで到達した後に、AIにデータを学習させるサイクルを回すことで精度が上がっていきます。
このように本企業は自動車部品における業務を改善するAIを開発して、さらなる品質アップを狙っています。
外観検査の自動化AI②
本章では、外観検査の事例をもう一つ紹介します。
製造業に向けた異常検知のAIソフトウェアを提供している本企業は、独自の画像解析技術を活用した外観検査自動化システムを自動車部品生産ラインで2021年から本格始動しました。
今回、外観検査の対象となったのは「平バスバー」と呼ばれる、自動車電装品の電気回路に利用される端子板です。この部品の特性上製造過程で生じる傷などの欠陥は、数ミリと非常に細かいです。また欠陥の場所や種類も多く異常検出が難しかったため、これまでは目視による検査を行っていました。
そこで今回一役を買ったのが、本企業が開発した画像解析技術が基盤となった画像検査ソフトウェアと、対象商品の撮影を自動で行う装置です。これにより、検出難易度の高い不備も高精度で検出できるようになりました。実際に本システムを導入した企業は検査時間が3分の1に短縮され、日々の見逃しもゼロになり、スピード感と品質向上を達成しています。
また本システムはアルゴリズム構築に必要なデータ量も150枚と非常に少ないため、ディープラーニングを用いた画像認識よりも導入までの期間が短く、システムのメンテナンスコストも少ないのが魅力です。
参考:アダコテック、外観検査の自動化AIソフトウェアを相川プレス工業の自動車部品生産ラインへ提供
自動車部品の研削加工品質を判定するAI
日本の総合エレクトロニクスメーカーと、日本の自動車などを製造する重工業企業は共同でエンジン部品の削磨加工品質を高精度に判定してくれるAIシステムと、そのAIシステム管理を支援する運用管理パッケージを2022年1月末から本格的に稼働したことを明らかにしています。
両者はこれ以前に、エンジンのカムシャフト研削加工工程の品質保証にAIシステムを活用する実験と、そのAIモデルの効率的な管理を手助けし現場品質AIを量産工程に適用する実証に力を注いできました。
(※カムシャフト:エンジンのバルブを開閉する役割をもつ、一本の棒のこと)また両者はこれに加えて、AIモデルの開発から運用までの業務推進手法を体系化することで、一部の工場においてAIシステムの本格的な稼働をスタートさせました。
具体的に本システムでは全カムシャフトの振動データや主軸動力値を研削設備に接続したセンターから取得したデータを基に、品質基準値内かどうかを判定し結果を加工設備へ知らせます。
また本システムと現場品質AIを連携させれば、設備内のモデルを一元管理できるため、AIモデルの推論結果と実際の検査結果を常に監視・照合しながら予測精度維持できるようになります。
参考: 自動車部品の研削加工品質を判定するAIモデルとAI管理システムが本格稼働
自動車部品を製造する生産設備の設定値を、自動補正してくれるAI
本章では自動車部品そのものではなく、部品工場でのAI活用事例を紹介します。
トヨタグループの本家・源流にあたる自動車部品製造会社は、自動車部品を製造する生産設備の設定値を高精度に予測するために、自動補正システムを開発しました。
本企業の生産設備の一つに、自動車のバンパー製造に用いる射出成形機があります。同社ではこの射出成形機のセンサーが取ってきたデータから加工不良品の発生原因を分析し、波形として可視化する情報分析基盤を運用しています。
しかし分析結果から得られた理想波形と実際に測った波形の差から、算出される設定値はベテランの判断に委ねられておりノウハウが属人化している現状にありました。
そこで同社は、ソフトウェアの販売や開発、システムインテグレーションなどを行う某企業に依頼しシステム構築に乗り出しました。
本システムを導入する以前は、不具合が発生してからベテランがデータを確認して設定値を調整していましたが、導入後は不具合が発生する前にAIがその傾向を察知して設定値を提示してくれるようになりました。
まだ運用評価中であるものの、不具合が発生する前に設定値を自動的に補正できるようになれば、リードタイムの短縮や属人性の排除、業務生産性の向上にも繋がると期待されています。
参考:株式会社豊田自動織機(AIインテグレーションサービス)AIで工場の生産設備の設定値を自動補正。生産品質の安定維持化と業務の生産性向上。
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プログラミング不要でAI予測モデルが構築できる「MatrixFlow」
MatrixFlowはプログラミングの知識をお持ちでない方でも、AIを構築できるAI活用プラットフォームです。不良品検知の面においては、画像データやセンサーデータなどから異常値や異常状態を予測し、歩留まりの改善に貢献してくれます。
ちなみにアルゴリズムの開発は、処理単位のブロックをドラッグ&ドロップし、繋ぐだけで完了します。また作成したアルゴリズムやデータの管理は、AI構築に関わるすべての工程を一元的に管理できます。
なおこの開発スキームは、業種・業界によらないものであるだけでなく、開発を続けることで開発ノウハウがブロック、およびその組み合わせのテンプレートとしてプラットフォーム上に蓄積されていきます。そのため今後のAI開発の面においては、さらなる開発費用の低減と開発の早期化が期待されます。
お問い合わせから導入までの流れは「お問い合わせ→説明会の実施→ヒアリング→お見積もり→契約・導入支援」の5ステップです。また無料トライアルも実施しているため「気になって入るけれど、すぐに導入する勇気はない」とお考えの方はこのトライアルを、ぜひお試しください。
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