小売業界におけるAI需要予測の実例や、進め方、ツールをご紹介
小売業界で、AIの活用が進んでいることはご存知でしょうか。 これまで人の管理に依存していた、在庫や発注管理をAIが代わりに担うようになってきています。 AIを活用することで、担当者の主観に頼らずデータを分析でき、より確度の高い予測ができるといったメリットがあります。 AIを使った商品の需要予測にはどのようなメリットがあるのか、具体的な事例を踏まえてご紹介していきます。
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小売業界におけるAIの需要予測とは?
AIによる需要予測とは、データを元に何が・いつ・どのくらい売れるか予測することをいいます。
過去の売上推移や関連商品の売上から、今後その商品がどれくらい売れるかを予測することが可能です。
また、過去の販売記録だけでなく、未来のデータからも需要を予測します。
例えば、小売業は気温や曜日によって売れやすいもの・売れづらいものがあります。
暑い日はアイスや炭酸飲料、ビールなどが売れやすく、寒い日はおでんや鍋スープなどが売れやすいです。
AIはこうした気温や降水確率、曜日の特性から売れやすいものを予測できます。
多くの小売業では、過去のデータから担当者が大体の発注数を決めるのが一般的です。
ですが、AIを活用することにより、人による発注よりも精度が高い需要予測ができます。
では、AIを使った需要予測にどのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。 -
小売業界におけるAI需要予測のメリット
小売業でAIの需要予測を行うメリットとして、大きく4つ挙げられます。
・発注業務を効率化できる
・フードロスを削減できる
・スペースコストを削減できる
・欠品による機会損失を抑えられる発注業務を効率化できる
AIを使った需要予測のメリット1点目は、発注業務を効率化できる点です。
小売業における発注業務は、担当者が手作業で行うのが一般的です。
過去数日〜数週間の売れ行きや、残りの在庫数から追加発注すべき商品や数、逆に発注を抑える商品を決めます。
データや目視で在庫を確認する必要がある上、そこから発注数を決めるのにも労力がかかります。
ですが、AIが自動で発注すべき数を割り出してくれれば、発注業務自体が不要になります。
そのため、発注担当者の人件費も削減できます。フードロスを削減できる
AIの需要予測のメリット2点目は、フードロス(食品ロス)を削減できる点です。
フードロスとは、本来食べられる食品が消費期限切れや在庫過多で廃棄されることをいいます。
日本では年間570万tもの食品が廃棄されており、1人あたり1年で45kg分が捨てられている計算です。
フードロスは食べ物がもったいないだけでなく、環境にも悪影響を与えています。
廃棄された食品を焼却することにもコストがかかっており、フードロスは世界的な社会問題になっています。
AIで精度の高い需要予測ができれば、食品の売れ残りを抑えることができ、結果的にフードロスの削減も可能です。スペースコストを削減できる
メリット3点目は、スペースコストを削減できる点です。
スペースコストとは、商品の在庫を確保しておくスペース(場所)にかかっているコストをいいます。
在庫を多く保有するということは、その在庫を置いておく場所にもコストがかかっているということです。
店舗の敷地面積には限りがあるため、全ての商品の在庫を豊富に確保しておくことは難しいでしょう。
需要がわからないということは、結果的に売れない商品の在庫確保にスペースを使うことにもなりかねません。
AIが商品の需要を予測すれば、これらの課題も解決できます。欠品による機会損失を抑えられる
メリット4点目は、欠品による機会損失を抑えられる点です。
小売業において過剰在庫の防止と同じくらい重要なのが、欠品による機会損失です。
在庫があれば得られたはずの利益を失うことは、企業にとって防がねばならない損失です。
通常、発注量は担当者の裁量で決まるため、予測が外れて在庫がなくなり、売上の機会損失につながります。
AIであれば、過去や未来のデータを元に需要を予測するため、あらゆるパターンを想定した最適な在庫量を算出できます。
そのため、過剰在庫を防ぐと共に、欠品による機会損失も抑えることができるのです。 -
小売業界におけるAI需要予測の事例
AIによる需要予測のメリットはわかりましたが、実際に導入されている事例はあるのでしょうか。
小売業界でのAI需要予測の導入事例をいくつかご紹介します。大手スーパーマーケットの事例(1)
大手スーパーマーケットでは、2019年より100店舗以上でAIの需要予測が導入されています。
AIが需要を予測するのは、食品・衣類・日用雑貨など約8,000点が対象です。
過去の販売データに加え、今後1週間の天気や曜日ごとの傾向を元に需要を予測し、最適な発注数を提案してくれます。
AI導入以前も自動発注機能はありましたが、在庫を補充するために発注数を割り出すことしかできませんでした。
AIの需要予測は在庫補充にとどまらず、チラシ掲載の有無といったあらゆるデータを活用し、従来では導き出せなかった需要を予測してくれます。
現段階ではAIが全ての発注数を決めるわけではなく、担当者が競合店舗や近隣のイベント情報などを元に最終的な判断をしているようです。
AIの需要予測を取り入れたことで、担当者1人あたり約3割の発注作業の時間短縮に成功しています。大手スーパーマーケットの事例(2)
大手スーパーマーケットでは、気象情報会社が開発したAIの導入事例があります。
このAIでは、気象予報のノウハウを活かし、気温・天候を元にした需要予測を得意としています。
台風や大雪といった一般的な需要予測サービスでは予想が難しい、悪天候における需要変化の予測が可能です。
過去の販売データと気象予報のデータを組み合わせ、商品需要と来客数を「特需」「増加」「並」「減少」「特減」の5段階で判定します。
2020年に試験的に導入を開始し、食品廃棄や販売機会のロス削減を目指しているとのことです。大手コンビニエンスストアの事例
大手コンビニエンスストアでは、2015年からAIの需要予測を取り入れました。
フードロスを削減すると共に、商品を売り切ることで加盟店の利益確保を目的としています。
一部エリアから部分的に導入を開始し、おにぎりやサラダといった消費期限の短い商品が予測対象です。
近隣のイベントや競合店の出店・閉店状況から発注数を提案し、担当者が最終判断する流れになっています。
発注数の提案だけでなく、天気と在庫状況から値引きの提案も行ってくれ、利益を確保しながら売り切ることができるようになりました。
さらに、AIを導入したことで平均3割程度の発注時間が削減できています。
導入店舗を拡大し、2030年までには店舗のフードロス半減を目標としています。
AIの予測精度を上げることで無駄な食材の仕入れを削減するなど、より上流工程からフードロスを対策する見通しです。大手ドラッグストアの事例(1)
大手ドラッグストアでは、過剰在庫や欠品、手作業での発注業務削減を目的にAIを導入しています。
天気や曜日、店舗の立地から来店客数を予測し、約95%と高い予測精度を誇っています。
医薬品・日用品から消費期限の短い商品まで、全商品の9割近くを対象とし、需要予測から発注までを自動で行います。
2019年に一部店舗で導入を開始し、約3割の品切れ削減に成功しました。
2020年には全店舗にAIの需要予測を導入し、さらなる利益率改善を目指します。大手ドラッグストアの事例(2)
大手ドラッグストアでは、発注時間の削減や人手不足解消を目的としてAIが導入されました。
年末年始やゴールデンウィークといった季節ごとのイベントと連携し、来店客数を予測します。
世間一般のイベントだけでなく、ポイントアップデーといった自社のイベントとも連携が可能。
1ヶ月以上先の日程まで予測できるため、生産計画にも活用できます。
また、時間帯別の客数も予測できるため、最適なシフトを組んで人手不足も補えます。 -
AIで需要予測が簡単にできる「MatrixFlow」
自社でAIの需要予測を取り入れたい場合、導入までどのような流れになるのでしょうか。
AIプラットフォームである、「MatrixFlow」を例に解説していきます。
AIの需要予測を導入するまでの流れは、5つのステップに分けられます。1.AIで解決したい課題を明確にする
2.需要予測に必要なデータを集める
3.データを元にAIのモデルを作成する
4.精度を確認する
5.構築したAIを現場で運用するまず最初に、AIで解決したい課題を明確にします。
フードロスや在庫欠品の削減、発注時間の短縮など、AIを使って解決したい課題を洗い出して優先度をつけます。
課題が明確になったら、需要予測に必要なデータを集めます。
AIは学習したデータを元に需要予測を行うため、過去の販売データや気象情報といったデータが必要です。
データが集まったら通常、どのようにアウトプットを出すのかプログラミングでAIのモデル作成を行います。
ですがMatrixFlowでは、集めたデータを投入するだけで高性能なAIモデルを自動で作成してくれます。
これをAutoML機能と呼んでいます。集めたデータはAIに学習させる前に、形式をそろえたり数値の欠けを補うといった加工が必要です。
AutoMLでは、こうしたデータの加工も自動で行ってくれます。AIモデルが構築できたら、推論用のデータで精度を検証します。
精度が低かった場合、学習データの追加や削除を行って精度を高めていき、目標精度が出れば完成です。
MatrixFlowでは、データの加工やAIモデルの構築といった、時間や手間がかかる工程をかなり短縮できます。
時間が短縮できるということは、AIモデルを外注した場合に比べ、費用も抑えられるということです。
MatrixFlowについては、こちらで詳しく解説しています。 -
小売業界におけるAI需要予測まとめ
・AIを活用し、商品の需要を予測するシステムが注目されている
・過去の販売実績や天候データを元にAIが需要を予測
・発注業務の効率化や、フードロスの削減といったメリットがある
・大手スーパーやコンビニでの導入事例も多数
・小売業でAIの需要予測を導入するなら、MatrixFlowがおすすめ小売業界でAIを活用し、需要を予測する方法について解説しました。
担当者個人の経験に頼っていた発注業務も、AIなら過去の販売データや天候データを元に客観的な需要予測が可能です。
最適な発注数を算出できるだけでなく、発注業務の効率化やフードロス削減といったメリットもあります。
既に大手スーパーマーケットやコンビニエンスストアでの導入事例も多数あります。
自社でAIの需要予測を導入するなら、AIのプラットフォームであるMatrixFlowがおすすめです。
MatrixFlowなら、学習データの加工からAIのモデル構築まで自動で行えます。
過剰在庫や利益率向上を目指すなら、MatrixFlowでAI導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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